蓮沼執太 | Shuta Hasunuma

旧年の振り返りから新年へ

Date

2014.01.01

恭賀新年
あけましておめでとうございます。
2014年もみなさんにとってお気づきの多い年になりますように。

そんな僕は12/28のポナイト公演を終えて、その片付けなどを1人でやっていて今年はアトリエは大掃除も進まず。まだ2013年が整理されないまま新年の制作に入ってます。さて、今回は2013年の活動を振り返ってみます。旧年は色々なところでたくさん動いたなぁ、走ったなぁ。コンサート、個展、アルバム制作、ワークショップ。たくさんの機会を頂いてありがとうございました。正直、ものすごく大変だったけど、駆け抜けただけ新しい感触を常に得ることが出来ました。

さ、旧年を振り返ってみたいと思います。自分でも多すぎて忘れてしまってます。この機会を逃すと、忘却のかなたへ行ってしまうでしょう。

1/5 蓮沼執太フィル・ニューイヤーコンサート@オペラシティ
1/11 品川区日野学園・廃材楽器ワークショップ
1/18 『TIME』公演@二子玉川 with 梅田哲也
2/9 – 17 『音的|soundlike』@アサヒ・アートスクエア
2/19 DJ with 鬼の右腕
2/22 ホナガヨウコ+木下美紗都 公演『君の知らない転び方』アフタートーク
3/16 NHKテクネ 映像公開 by 水尻自子
3/21 シアタープロダクツ コレクション 2013 W/W @ラフォーレミュージアム原宿
3/20 – 4/1 瀬戸内国際芸術祭 レジデンス in 小豆島
4/3 環ROY アルバム『ラッキー』 3曲プロデュース
4/12 – 5/12 グループ展『()も()も()も展』参加
4/13 西島大介展 トーク
4/16 蓮沼執太フィル on スターバックス・レセプション@ヒカリエ・ホール
4/21 環ROY×蓮沼執太×ユザーン @いわきライブ
4/23 大阪グランフロント・レセプション ライヴ&トークwith ユトレヒト江口宏志
4/23 ポカリスエット・イオンウォーターCM公開
4/25 蓮沼執太フィルのレコ発@渋谷WWW
4/28 VACANT『FOOP』トーク with 坂下加代子(中央アーキ)
4/29 隈研吾設計『九州文芸館』パヴィリオン音楽制作
4/30 環ROY×蓮沼執太×ユザーン @月刊ウォンブ
5/1 – 5/17 ナイロビレジデンス ケニアのナイロビに滞在制作へ
5/10- 5/12 ままごと『朝がある』編曲
5/11 NIKE RUN TRACK プロジェクト
5/19 ナイロビ報告会 トーク @馬車道YCC with 桂英史
5/25 環ROY×蓮沼執太×ユザーン@六本木ミッドタウン
5/25 デザインあ展・ワークショップ
6/3 環ROY 主催イヴェント・ラッキーに出演 @渋谷WWW
6/15 蓮沼執太チーム東北ツアー 仙台
6/16 蓮沼執太チーム東北ツアー 盛岡
6/28 テレビ東京『ヴァンパイア・ヘヴン』(瀬田なつき監督)劇中音楽放送
7/3 東北工芸大学ゲスト講師:大原大次郎
7/7 Music Today on Fluxus @国立国際美術館 (蓮沼執太フィル)
7/18 銀座SONYビル 展示音楽制作
7/28 瀬戸内芸術祭 夏会期 盆踊り音楽制作
7月末:蓮沼執太フィル・スタジオ・レコーディング
8/3 『建築と音楽』シンポジウム 藤村龍至、小野寺唯 ほか
8/6 DJ ライゾマティクス 主催イヴェント
8/7 DJまほうつかい CDリリース from ウインドアンドウインドウズ by HEADZ
8/10 毛利悠子展『東海ポリリズム』蓮沼執太チームライヴ
8/11 ヴァンジ彫刻庭園美術館 ライヴ 2人展 with 志村信裕
8/18 ワークショップ『夏の作曲会』@DIS川村記念美術館
8/24 クチロロ@三重県文化会館
8/25 クチロロ@梅田シャングリラ
8/25 空間現代『Tsuuka』リミックス feat. 古川日出男
9/5 豊田道倫&『m t v』BAND with 空間現代+蓮沼執太+古川日出男 @渋谷WWW
9/6 クチロロ@渋谷WWW
9/7、14、21 キベラエクスチェンジ @アラカワ・アフリカ4
9/12 レクチャー札幌『パブリックと音楽』
9/13 ワークショップ札幌
9/16 TypogRAPy(イルリメ+蓮沼執太+大原大次郎)DESIGNEAST4 @名村造船所
9/21 – 10/11 アラカワ・アフリカ4
9/22 『ROOT+tamtam』トーク with 島貫泰介
10/4 富山ライヴ『クチロロ+蓮沼+環+the band apart』
10/14 VACANT 『東京の小豆島 小豆島の東京』トーク
10/18 – 20 『島地保武+酒井はな<アルトノイ>』ダンス公演
10/23 – 27 映画『5windows』再演
11/2 – 11/20 『音的→神戸|soundlike2』神戸アートビレッジセンター
11/2 オープニングトーク with 佐々木敦
11/4 環ROY×蓮沼執太×ユザーン『EMAF TOKYO 2013』@リキッドルーム
11/17 環ROY×蓮沼執太×ユザーン ライヴ 神戸アートビレッジセンター
11/18 蓮沼執太チーム&TypogRAPy(イルリメ+蓮沼執太+大原大次郎)@CAY
11/26 環ROY 主催イヴェント・ラッキーに出演 @渋谷WWW
12/7 蓮沼執太フィル ビッグマウンテンフェスティバル@タイ
12/21 蓮沼執太フィル『HARAJUKU PERFORMANCE+ DOMMUNE』@ラフォーレミュージアム原宿
12/22 クチロロ『HARAJUKU PERFORMANCE+ DOMMUNE』@ラフォーレミュージアム原宿
12/28 エクス!エクス!エクスポナイト @渋谷O-nest

よく聴いた音楽は以下でした。

Yo La Tengo: Fade
Sensate Focus:Sensate Focus 2
Kanye West:Yeezus
Daft Punk:Random Access Memories
Polvo:Siberia
Mountains: Centralia
(((さらうんど))):New Age
A$AP Ferg:Trap Lord
Oneohtrix Point Never:The Fall Into Time
DJ Rashad:Double Cup
Obey City:Champagne Sounds
Chris Watson:In St. Cuthbert’s Time
KENDRICK LAMAR:good kid, m.A.A.d city
The Pastels:Slow Summits
Harold Budd:Budd Box
Staring into the Sun:Ethiopian Tribal Music
Van Dyke Parks:Songs Cycled
ÄÄNIPÄÄ:THROUGH A PRE-MEMORY
Jon Hopkins:Immunity
David Bowie:The Next Day
Michael Pisaro:The Middle of Life (Die Ganze Zeit)

映画と本はたのしむ時間がなくて本当に残念でした。今年はたくさん時間を作りたいな。
読んだり観たりしたけど、音楽や展示ほどチェックできなかったから、ここでは載せません。笑

良かった公演は以下です。音楽や舞台も一緒にして記載してみました。
こちらも現場に中々足を運べなかったなぁ。ゆっくり観劇したり、ライヴ観たりする時間がほしい。

ティム・エッチェルズ『The Coming Storm ― 嵐が来た』
チェルフィッチュ『地面と床』
飴屋法水+吉増剛造 @ポナイト
伶楽舎「越天楽」「管弦 −高麗楽の管弦と唐楽の大曲−」
Perfume『LEVEL3』@東京ドーム
高橋悠治&内橋和久『U9』
ARICA+金氏徹平『幸せな日々』

良かった展覧会は以下です。

アントニオ・ロペス@Bunkamura ザ・ミュージアム
東博 秋の特別公開
スミルハン・ラディック+マルセラ・コレア展@メゾンエルメス
ジャネット・カーディフ&ジョージ・ビュレス・ミラー@ギャラリー小柳
つきしま かるかや-素朴表現の絵巻と説話画 @日本民藝館
特集展示 ピカソの版画と陶芸 特集展示 塩見允枝子とフルクサス @国立国際美術館
丸山直文『夜みる夢を構築できるか』 @シュウゴアーツ
映画をめぐる美術 ―― マルセル・ブロータースから始める @京都国立近代美術館
下村観山展 SHIMOMURA KANZAN RETROSPECTIVE @横浜美術館
米田知子『暗なきところで逢えれば』@東京都写真美術館
中村好文『小屋においでよ!』@TOTO ギャラリー間

まだまだあった気がしますが、こんな感じでしょうか。
30歳になっても、たくさんフレッシュな経験させてもらって嬉しいですね。今年もたくさん音楽を作っているし、色々な出来事に足を運んでいきたい。新年もどうぞ宜しくお願いします。

なんと言っても、1月15日 蓮沼執太フィル『時が奏でる|Time plays – and so do we.』のリリースがあります。これ、僕もめちゃくちゃ頑張らないとな。

長くなりましたが、旧年の振り返りから新年へ!

2013年最後のフィル

Date

2013.12.20

土曜日は、今年最後の蓮沼執太フィルです!

HARAJUKU PERFORMANCE + DOMMUNE 2013

http://www.dommune.com/harajuku2013/

フィルはスタメンのフル・メンバー。そしてゲストに坂本美雨さんをお迎えして彼女の楽曲と僕が作曲している楽曲も演奏します。
さらに、来年1月15日リリースのアルバム『時が奏でる|Time plays – and so do we.』を全曲演奏します。そして、それが特別に先行販売されます!会場限定です。3週間くらい前のフライングです。お楽しみに。

http://hasunumaphil.com/

そして、明日のセットリストも前日に公開します。

1:ONEMAN
2:Earphone & Headphone in my Head – PLAY0
3:Zero Concerto
4:Triooo – VOL
5:YY
6:YES
7:wannapunch! – Discover Tokyo – Sunny Day in Saginomiya
8:MIU 1st
9:The Other Side of Love
10:Soul Osci
11:Hello Everything

美雨さんのあの曲やこの曲もフィルヴァージョンで演奏します。無事に演奏できますように。

なんと言っても、大野松雄さんにお会い出来るのが本当に楽しみです。もちろん生演奏は聴いていますが、高校生の時に高円寺の中古レコード屋さんで高かったのに状態の悪い『そこに宇宙の果てを見た』を買って帰り、家で聴いて、解放された音楽と位相がむちゃくちゃな音響を初体験した。っていうのは今でも大きく些細な影響です。高校生がよく作品に入り込めたな、と今でも思います。この作品、EM RECORDでリイシューされていたような。

それと、オープンリールの和田くんとICC主任学芸員・畠中実さんともトークを行います。話の内容は僕もまだ伺っていませんが、こちらの今から楽しみにしています。

年末っぽく、蓮沼フィルの2013年をまとめてみます。
1月のオペラシティでのニューイヤーコンサートにはじまって、4月の渋谷ヒカリエホールでのスターバックスでのレセプションコンサート、WWWでのワンマン公演、七夕の国立国際美術館でのミュージック・トゥデイ・オン・フルクサス、夏にはスタジオレコーディング、そして、年末のハラジュクパフォーマンス+。来年はどんな環境が待っているのでしょうか、作っていけるのでしょうか?
蓮沼フィルはもっと軽く柔らかく表現出来たら良いですね。

ということで、12/21(土)ラフォーレミュージアム原宿でお会いしましょう。

ビッグ マウンテン フェスティバル@Thailand

Date

2013.12.07

さて、いま早朝のサウンドチェックを終えて、ホテルで1人休憩。夜8時前の本番までは自由行動。

バンコクから車に揺られること3時間強。壮大な自然が広がるこの地に25万人もの人が集まるフェスティバルが2日間開催されます。日本のフジロックみたいな感じなのでしょうか。シンガポールのモザイクフェスティバルというこちらも大規模なフェスに数年前に出演したことがあって、アジアでの公演も多いちょこちょことあるのですが、今回はタイのカオヤイへ。

以下のサイトでフェスの情報がありましたよ。
http://asianbeat.com/ja/feature/issue_event/bmmf4/about.html
http://outov.com/foreign_country/bigmountain5.html

僕らはボストークのいすちゃんとバンコクのsoiミュージック遠藤治郎さんのお誘いで出演させて頂くことになりました。蓮沼フィルで行きたいなーと思い、メンバーに声をかけてみました。今回の旅は交通費は実費、そしてビザはアーティスト商用ビザ。スケジュールにして最低4日間タイに滞在するという、なかなかシビアな条件の中で参加をしてくれたメンバーが以下です!イトケン(ドラム、シンセ)、斉藤亮輔(ギター)、小林うてな(スティールパン、グロッケン、シンセ)、三浦千明(フリューゲルホルン、グロッケン)、環ROY(ラップ)、葛西敏彦(PA)、渡辺敬之(照明)、石黒宇宙(サポート)、斎藤あきこ(フィル太)と、素晴らしいメンバーが揃う。勇敢!本当にうれしい楽しい。今回用にアレンジを変えての演奏になってます。更には、KAKATOで鎮座DOPENESS、bomiちゃんバンド、Kiiiiiii、と愉快なメンバーが集まってます。ボストークからガビンさんたちもこちらへ来ているし、東京でも絶対に同じ場所に集わないパーティになってて面白い。みんな変な音楽やるだろうし。

個人的なことを。遠くの土地で友達に会うとすごい嬉しいんですよね。偶然でも必然でもどちらでも嬉しい。なんか「え?なんでこんなところにいんの?!すごーい。」とか、すぐ思っちゃって、気持ちが上がる単純なタイプです。普段、場所を共にするよりももっと濃い体験を過ごしているように思います。前回に旅行でバンコクに来た時もイトケンさんと会って、タイの古式マッサージに連れてってもらったりして、東京ではそんなことあり得ないもんなぁ、とか思ったり。

屋外ステージで、夜になりかけの良い時間帯の出演なんで、演奏を素直に楽しんできます。日本でもこの編成で演奏したいなぁ。それではまた!

埼玉〜淡路島~神戸~東京~横浜~神戸~東京~タイ

Date

2013.12.04

ぼくはいまタイの北部。チェンマイに滞在してます。このSelfのページで文章を書きたかったのですが、なかなか時間が作れなくて、わざわざタイに来てコレを書いている状況です。。。ここで文章を書いている時は新幹線の移動中やカフェで一気に書き上げるなどの方法だったので、今回は異例の展開です。ここでは文章をアップしていませんでしたが、いくつかの雑誌での寄稿があって、連載のSWITCH、GINZA、UOMO、BRUTUS、CasaBRUTUS、PEN、イントキシケイト など、色々自分で文章を書いたり、インタビューがあるので、気になる方は立ち読みしてみてくださいね。(もしくは雑誌を買ってくださいね。)

はい、それで、チェンマイにいま居ます。12月7日に行われるフェスティバル『Big Mountain Festival』に出演のためにタイへ来ています。ぼくはメンバーよりも一足お先にタイ入りをして、バンコクから一人旅で北へ。チェンマイにやってきました。古都ですね。ここで一泊し、明日はチェンマイの旧市街を散歩して、夕方にはバンコクに戻ります。これは本当に休む時間がなくて、もう海外に行く方法しか強制的に休みを取れる時間が作れなかったという始末になっちゃってます。11月の神戸の個展もあっという間に終わってしまったし、蓮沼執太フィルのアルバム情報も色々とリリースされてしまったし、僕の口から報告したいことが多かったのに、「フィル太」担当のスタッフ2人にニュースは任せっぱなしで反省でした。

ということで、いままで何してたかを振り返ってみようと思います。前回のエントリーが10/22でした。そこへ向かって現在から過去へ時間を旅してみようかなと。自分への活動リマインドでもありますね。

では、振り返ります!

12/4
朝6時にバンコク・スワンアプーム空港に着いて、トランスファーでチェンマイ空港。お堀があって、その辺りを朝から散歩。意外と白人が多くて、バンコクにありがちな独特のニオイが無い。マーケットものぞく。トゥクトゥクで西側のニマンヘミンへ行ったりして、15時にチェックイン。もう今日は外へは出ない。ここでゆっくり休む。ということで、これを書いてます。

12/3
昼間は目黒にあるタイ大使館でKAKATO(環ROYと鎮座ドープネス)と我々フィルのビザ申請後のパスポートを取りに行く。が、僕は遅刻する。でも、無事にアーティストビザを取得。海外で演奏するのは本当に手間と時間がかかることを改めて勉強した。VACANTでNerholの展示を観た。24時に羽田からバンコク・スワンアプームへ。

12/2
リキッドルームでイラストレーターのりたけさんと打合せ。ちなみに「フィル太」イラストを描いて頂いたのは彼ですよ!その後、アルバムのプロモーションで南波一海さんに取材を受ける。久々に南波さんと音楽の話が出来て良かったです。忘年会の約束を。カフェで雑誌の寄稿を一気に書き上げる。こちら力作です。

12/1
蓮沼執太フィルの公式サイト『その光が奏でる』のサイトがバージョンアップしました。WEB担当の石黒宇宙さん渾身のアップデイト。是非見てみてください。F/T(フェスティバル・トーキョー)は去年も今年も全然時間が作れず観れなかったんですが、意を決して(締め切りを破って。。。)ティム・エッチェルズ演出作品、リミニ・プロトコルを観劇。F/Tはこれしか観に行けず。時間が無い、残念。夜は渋谷で、よだまりえちゃんのリリースイヴェントへ。深夜にデザイナーの須山悠里と来年リリース予定の作品集の打合せを。

11/30
サンガツのコンサートを横浜で観た。特殊なシチュエーションだったけど、正面から音楽を聴いた感じで最高だった。サンガツの音楽は強い。

11/29
早朝からタイ大使館へ行き、アーティストビザ発行の手続きへ。お昼からフィルの打合せ、2月に行うTPAM公演の打合せ、12月21日開催のハラジュクパフォーマンス+の打合せ。夜は12月に個展を控えている山城大督くんと打合せ。彼の個展で音楽を数曲作曲予定です。一日中、人と話す一日だった。ずっと打合せ。

11/28
ヤマハで坂本美雨さんたちと打合せ。美雨さんの次のアルバムをプロデュースします。ユーモアある優しいアルバムを作りたいね。そのあと、今年最後の出演イヴェントに協力をしてもらうエンジニアの田鹿充さんと打合せ。まだ発表になっていませんが、このイヴェントも頑張りたい。

11/27
早朝から駒沢公園。お気づきの方もいらっしゃると思いますが、フィルの公式サイト『その光が奏でる』のお散歩試聴会・前編、でイルリメこと鴨田潤さんにフィルのアルバム『時が奏でる』を初見で聴いて頂いて、すぐ感想を聴くという斬新スタイルの試聴です。12月20日発売のSWITCH連載『アクティヴィティーズ』でもデザイナー大原大次郎さんとイルさんと僕とのTypogRAPyで鼎談をしています。夜はフィルのメンバーで会って食事。楽しかった。

11/26
環ROYのイヴェント『ラッキーVOL.2』渋谷WWWで出演。LITEの山ちゃん、ART-SCHOOLのトディ、クチロロの三浦さん、僕との5人編成で環ROYバンド演奏でした。ロックなアレンジ。待ち時間に三浦さんにタイ行きの旅券の手続きとか付き合ってもらって、タイ行きの準備も着々と。イヴェントは大盛況。環さんはやや緊張ぎみでしたけど、そこもまた良い雰囲気になっていて面白かった。

11/25
フィル@タイのリハーサルを終日。編成がすこし変わっているので、少ない時間ながらも入念にリハーサル。夜はダンサーの岩渕貞太さんと打合せ。未来の話をするのはたのしい。

11/24
環ROYバンドのリハーサル。隣のスタジオがサンガツで、久々に小泉さん、小島さんに会う。週末にイヴェントがあるそうで、行こうと決めた。帰ったら美雨さんの楽曲制作。ちょっとでも時間が出来たらこの数週間はずっと美雨さんの作品を作曲してます。

11/23
神戸から帰京して、一日整理をしていたら、あっという間に一日が終わってしまう。

11/22
昼間はKAVCの伊藤さんと共に神戸を回る。はじめて神戸港をクルーズ出来た。夜はNO ARCHTECTSの2人に此花を案内してもらった。梅香堂もはじめて訪れた。下道さんの鳥居シリーズの展示が素晴らしかったです。詩人の辺口さんともお会いして、色々と意見交換が出来た。此花で活動しているメンバーはすごい等身大で自分のペースで生活をしていて、もっと早くに友達になったら、もっと大阪が楽しかっただろうな、と。

11/21
神戸展、搬出日。ゆっくりと片付けていたら、すぐに夜になってしまい焦る。『音的→神戸』も無事に終わって、一安心する。自分の作品の奥行きもそうだけど、ずっと神戸に通った分、関西の人隣が非常に強く感じれるようになった。今年の大きな成果のひとつ。
http://kavc.or.jp/art/eam/hasunuma/?p=523

11/20
『音的→神戸』最終日。昼間に三宮に到着し、横尾美術館、兵庫県美、などを案内していただいてKAVC入り。最終日とあって沢山のご来場に驚く。閉館後は西川文章さんやsonihouseの鶴林万平さんと機材の撤収をしつつ、夜は淡路島の友人が来神してくれていて、食事。

11/19
体が動かず、すっとソファーに座っていた1日。自分主催のライヴ2連続の回復を。

11/18
朝、神戸から環ROYとユザーンの3人で帰る。ユザーンが新神戸駅で美味しいシュウマイを見っけて、朝っぱらから新幹線の車内で美味しく食べる。帰宅して、機材を用意して青山にあるスパイラルビルの地下のレストランCAYで、蓮沼執太チーム&TypogRAPyのイヴェントへ向かう。月曜日の夜にも関わらず150人近いオーディエンスに来場していただいて、本当にうれしかったです。チーム演奏も良かったし、タイポグラッピィも初めて作った楽曲を演奏出来て満足。イルさんのトークスキルの高さにまたしてもヤラレタ。

11/17
神戸アートビレッジセンターにて展覧会関連イヴェント・環ROY×蓮沼執太×ユザーンのライヴ。まさかの2時間即興。やってる途中は平気だったけど、主演後はさすがに3人とも疲労の影が。でも会場満員で楽しかったです。今度はいつこの3人で演奏する機会があるかな?!

11/16
終日、美雨さんの楽曲制作。久しぶりに色々なアプローチで音楽の作曲を考えている。

11/15
イントキシケイトのインタビュー。インタビュアは松村正人さん。フィルについて考えていたことを思い出すように話す。

11/14
2月のTPAM公演について色々とアイデアを考えていた。フィルの全国ツアーの打合せ。

11/13
家にある機材の掃除など。機材を拭くのが好きです。あとは作曲。

11/12
今日も籠って作曲とレコーディング。朝から晩までコツコツ作業。コツコツと形になっていく。

11/11
今までの僕の音楽の作り方とは違って、まず複数曲を同時に作曲する方法でやっていて、これが自分にとってとても新鮮。

11/10
神戸から東京へ戻り。最近、移動中は読書よりも考えことをまとめる時間にしている。読書したい。積ん読が増えるばかり。でも、考えをまとめる時間も大切。

11/9
10時にKAVC入り。ワークショップ『新開地の新しい散歩。音を集めてグラフィックスコアを作って演奏をする』を行いました。参加者全員で散歩して4つの方法で採譜をしていき、演奏し、録音するワークショップ。その後はギャラリーツアー。話をしすぎてしまった。どうも、KAVCの空間は独特の緊張感があって、恥ずかしくなっちゃう。
http://kavc.or.jp/art/eam/hasunuma/?p=358
http://kavc.or.jp/art/eam/hasunuma/?p=409

11/8
神戸入り。昼間は大原大次郎さんのアトリエで、イルさんと僕の3人でタイポグラッピィの打合せ。文字を書くことで、リズムとメロディが生まれる、言葉の旅行。

11/7
昼間デザイナーの菊地敦己さんと打合せ。夜に個展開催中での鼎談イヴェントがあることを伺い、招待して頂いた。服部一成さんと都築潤さんとの鼎談。菊地さんのコンセプトはやっぱり一歩先に進んでいるな、と単純に思ってしまう。個展も素晴らしかった。

11/6
終日、作曲。アイデアが出たら、捨てるのを我慢して育てていきます。僕はすぐにアイデアに飽きて、ゴミ箱に入れてしまいがち。

11/5
早朝3時に新宿駅に蓮沼執太フィルのメンバー全員集めてのミュージックヴィデオ撮影。全員の気をまとめるのに、こちらの気も全部使った。人々をまとめるのは本当に大変だなぁ、とこういう時に思う。監督のチンポム林くん、快快北川よんちゃん、撮影ののろくん、ゆめこちゃん、ドキュメントを撮影してくれている駱駝さん、車を出してくれた石黒宇宙さん、フィル太の2人、清宮さん、と多くのサポートあって、ヴィデオが出来上がってます。すごい仕上がりですよ!12月中にアップします。お楽しみに。

11/4
リキッドルームにて環ROY×蓮沼執太×ユザーン。マリンさん、ヤンさん、フェネスなどライヴで観れて幸せだなぁと素朴な感想が出た。

11/3
神戸から東京へ。SONYの音楽仕事を仕上げる。

11/2
『音的→神戸|soundlike2』初日!佐々木敦さんに神戸にきてもらって、オープニングトークを。インセクツの中村悠介さんに司会をしていただいて、ガッツリ2時間。佐々木さんはもう知り合って5年以上経つんですよね。金氏徹平さんや八木良太さんの関西チームの友達も来ていただいて、小説家の福永信さんにはタイトルも褒めていただいた。展示の感想も丁寧に伝えていただき、とても嬉しかった。東京の友達も来てくれていたり、と幸せだな。あっという間に時間がすぎた1日でした。

11/1
『音的→神戸|soundlike2』設営5日目。NO ARCHITECTSの2人と最後の作業へ。スコアを展示するフレームもいよいよ完成。
http://kavc.or.jp/art/eam/hasunuma/?p=303

10/31
『音的→神戸|soundlike2』設営4日目。グラフィックスコアの演奏をレコーディング開始。リーリングの録音や伊藤さんのホルンなども。
http://kavc.or.jp/art/eam/hasunuma/?p=295

10/30
『音的→神戸|soundlike2』設営3日目。sonihouse万平さんが来てもらったり、新聞の取材をしたり。
http://kavc.or.jp/art/eam/hasunuma/?p=277

10/29
『音的→神戸|soundlike2』設営2日目。神戸で朝からラジオ生出演。その後、大阪へ行きgrafで雑誌SWITCHの取材。西川文章さん登場!
http://kavc.or.jp/art/eam/hasunuma/?p=266

10/28
『音的→神戸|soundlike2』設営初日。KAVCに眠っていたスタインウェイのピアノを引っ張り出してきました。
http://kavc.or.jp/art/eam/hasunuma/?p=264

10/27
京都から神戸入り。京都では神戸でレコーディングする用の楽器をたくさん購入。久しぶりにコイズミにも行ってみた。ハルモニウムが壊れたままなので、新しいものが欲しいなぁと思ったり。

10/26
京都へ。池田亮司『superposition』、地点×空間現代『ファッツァー』、京都近美『映画をめぐる美術ーマルセル・ブロータースから始める』と立て続けに観る。これが唯一の観光になるのかもしれない・・・

10/25
横浜にて5windows再上演。台風の影響も少なくすんで、非常に良かった。この日はトークに参加。建築家の藤原徹平さん、中山英之さんとの鼎談。

10/24
淡路島滞在3日目。樂久登窯さん、五斗長ウォーキングミュージアムへ連れてっていただく。
http://rakutogama.com/
http://awajishima-art-center.jp/aaf/aaf2013/our-portfolio/gwm/

10/23
淡路島滞在2日目。あいにくの雨模様。魚市場などを案内していただく。夜は淡路島アートフェスティバルの方たちと食事。

10/22
淡路島滞在1日目。台風が2つも来ている中、神戸展へのフィールドワークにしようと思いましたが、ちょっと難しそう。野村誠さんの展示を観る。瓦を楽器にしているのだよ。

10/21
アルトノイ『島地保武+酒井はな』彩の国さいたま芸術劇場での本番も終わって、神戸の準備をしている。休む間もなく、次のプロジェクトが本格化。

以上、振り返ってみました。

イルさんとのお散歩試聴会は本当に楽しかったです。次回もゲストに参加していただいて、試聴会を行います。またラジオやりたい熱があがってきました。もしチャンスがあれば、ラジオスタートしたいですね。

それと、蓮沼執太フィルはいよいよ1月15日にアルバムをリリースします。その前に12月21日にハラジュクパフォーマンス+ドミューンでの公演があり、春前から全国ツアーも始まります。この機会、もう2度とないかも?しれません。是非お越し下さい!気合い十分です。

これからは、時間のせいにしないで、文章書いていきたいです。

写真も時系列にたくさん上げておきます。(上から)

・チェンマイにあった路上にハンガーで彫刻がぶら下がってた
・チェンマイ門付近の朝のマーケット
・バンコクからのトランスファーの飛行機が派手
・サンガツのライヴ、贅沢でした
・神戸に移動中の池
・タイポグラッピィのリハーサル(音を出すわけではない)
・Box in Box という僕の新作@KAVC
・『音的→神戸』での地下シアターでのインスタレーションヴュー
・KAVCでずっとレコーディングしていました。クリストファーさんによる朗読
・ギャラリースペースでのグラフィックスコアによるインスタレーション
・蓮沼執太フィルのミュージックヴィデオ撮影、早朝4時の新宿駅

アルトノイ初演を終えて

Date

2013.10.22

アルトノイ

10月18日から20日までの3日間、彩の国さいたま芸術劇場にて『dancetoday 2013 ダブルビル』島地保武+酒井はな のお2人による新しいユニット「アルトノイ」の新作の音楽を担当しました。2人は公私を共にするパートナーです。島地さんとは共通の友達がいて、その紹介で知り合いになりました。彼はウィリアム・フォーサイス主催のフォーサイスカンパニーに所属するダンサーです。フォーサイスはもちろん僕も知っていたし、日本で公演をするチャンスが少ないのでダイレクトに観ているわけではなかったけど、映像や記録資料などでも観ていたし、島地さん同様にカンパニーに所属されている安藤洋子さんの公演は何回も観てました。そんな彼がこの冬に帰国をした際、僕はちょうどアサヒ・アートスクエアで『音的|soundlike』を開催中で、最終日にインプロビゼーションで展示室で踊ってくれました。展示室での僕のサウンドたちはいわゆる具体的な音楽というよりも、たくさんの音が広い空間であちらこちらで鳴っているアブストラクトな音像でした。そこでのパフォーマンスが素晴らしかった。僕は強い踊りに出会ってしまった!って言っても過言ではなく、展示ではガッチガチにロジカル思考だったところに、強いフィジカルが入った事によって、自分の頭でっかち感が恥ずかしく思えるほどでした。その時はコンセプトに一生懸命だったので、島地さんの品やかで厚い身体の動きは衝撃的でした。

さて、アルトノイのWEBサイトは石黒宇宙さんが担当しています。彼は僕の、これから出来る(!)蓮沼フィルの、島地さんのサイトも制作しています。そのアルトノイのサイトで往復書簡が読めます。そこでも記載されているので、制作を依頼していただいた最初のメイルをここに転載してみます。2月20日のことでした。

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テーマは愛です。
いままで臭いと思ってきたことを、こんなときだから本気でやろうとおもいます。
コンセプチャルな作品でなく純粋に踊ることをしたいというのが、今回のもくろみです。

ダンスとアートを切り離して考えたいというか、とにかくダンスがしたいんです。

今回は僕(コンテンポラリーダンス)がはな(クラシックバレエ)に寄るというところからクリエーションを始めています。
クラシックバレエの名作の白鳥の湖のグランアダージョを僕が覚え、そこから崩すことをしたいとかんがえています。崩すというのは例えば振付を逆再生したり、バランスをオフにしたり、男女のパートを入れ替えたりなどです。クラシックはやはり厳密に作られていてとても理にかなっています。クラシックの素養のない僕が崩す基盤にするためにクラシックを新たに習得するのはかなり大変です。ある意味今の自分のコンテンポラリーという基盤を崩すことにも繋がってます。とても難しことを短期間でしようとしています。

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なるほどねぇ、と、島地さん、かなりチャレンジングなことをしようとしているんだなぁと、すぐにわかりました。僕は当時(今もですが)センス任せ主義やコンセプト主体の制作やから逃れたいと思っていて、ソロでは技術的に高い作品に向かいたいと試行錯誤してました。クラシックバレエの様式のひとつの『グラン・パ・トゥドゥ』に島地さんが彼なりに挑戦するということで、僕もその様式に正面から挑むように強いバレエ曲を書いていくスタンスをとりました。バレエの中では「the 王道」を僕らなりに向き合う制作になったわけですね。

とわいえ、彼はフランクフルト在住ですし、さらにフォーサイスカンパニーの一員なので、ドイツですらほとんどおらず、世界を行ったり来たりしているので、制作のキャッチボールは直接会ってではなく、メイルベースでの意見交換や自分紹介からはじめていきました。そんな関係でクリエーションを進めて来れたのはやっぱりさっき書いたような明確な姿勢が僕も十分に共感を覚えたからですね。まずは、『グラン・パ・トゥドゥ』の中から「adajo」を作曲しました。パ・トゥドゥの中の楽曲はとにかくメロディを畳み掛けるように、強くシンプルにこだわってみました。その後「coda」も作りピアノ曲のベースが出来ました。7月後半から島地さんは来日されて田町にあるスタジオ・アーキタンツにて集中的にレジデンスに入って、はなさんと一緒にクリエーションをスタートさせました。バレエのスタジオなので、セミグランドのピアノがあり、僕も即興でフレーズを弾いたり、彼らの音をその場でレコーディングをしたりしていきました。島地さん、はなさんのヴァリエーション・ソロもスタジオでの稽古のときに作ったピアノフレーズを基にしてコンポーズしていきました。

そして、ちょうど一週間前の11日に島地さんはニューヨークから帰国して、劇場入りでした。音楽の制作進行は『グラン・パ・トゥドゥ』以外の部分も楽曲は既に作り終えて、会場での複数スピーカーでサラウンドにしたので、その調整を現地で仕込んでいきました。そこでもあまり出力を細かくせず、あくまで会場の良い部分を引き出すためのサラウンドにしました。

ダンスの稽古に参加していると、人間の刹那や瞬間みたいな事をモヤモヤと考えます。常に違った踊りが目の前に立ち上がっては消えていく感じが新鮮だし、生きていれば自分にだってそんな瞬間はあったりするだろうな、とか思ったり。プリマバレリーナのはなさんの動き、島地さんのエッジの利いたフォームを眺めていると、単純に美しくもあるし、小さいコンテクストの中で複雑なアイデアを入れこむのではなくて、もっと正面から表現に向かっていく姿勢も美しく感じたりしました。何と言うか、ふつうに基礎力のものすごい高さがあって、更にその上を表現しにいっちゃう果敢さに彼らと一緒に時間と制作を共に出来たからこそ、もっと大きいスケールでダンスと音楽の領域を捉えることが出来ました。僕はすごいラッキーでした。

結果的に、演出的な音も作曲したし、パ・トゥドゥの4曲、山下達郎のアレンジも関わって、当日は最後部にセットを作ってオペレーションをしてました。この辺りは先日のARICAでのイトケンさんの影響も大きかったし、大谷能生がよく言っている舞台での音響オペレーションの話を何となく聞いていたかいもあって、独特の緊張感と共にやってみました。(先輩の行動は自分の目でよく観て、話はよく聞くべきだな!って思いました。笑)

さて、初日の公演で2人がデュオで踊る「coda」のシーンでパソコンのエラーで音がストップしてしまいました。大アクシデント発生。何もしらないオーディエンスは演出だと思ったらしいのですが、無音の15秒間(踊ってた2人や僕は30分くらいに感じた長~い無音時間・・・)が発生しました。終演後「ごめんなさい!!」と楽屋に直行したわけですが、機材のアクシデントは舞台の魔物のせい、ということになったんだけど、このアクシデントを明日からもやりたい、と僕は島地さんに言いました。無音になってしまった部分を明日から敢えて無音にしていく。もちろん我武者羅では無く、前にも書いたように強いメロディーを畳み掛けていた「coda」の中で瞬間的にサイレンスが訪れた時に、2人の体の動きが作る時間感覚が伸び縮みしたんです。今まであった物が急に目の前から居なくなってしまって、すこし時空が歪む感じってみなさんも経験ないでしょうか。そういう時間の操作を作る、というか、身体表現において永遠の時間と圧縮された時間を考える上で、アクシデンタルに手に入れた技が分厚いメロディの中に急に訪れるサイレントでした。それをOKして、チャレンジしてみよう、と思える島地さんはやはりフォーサイスの元での海外経験があるからだと思いました。さらにそれに付いていくはなさんの柔らかさ。素晴らしいペアだと改めて思ったし、劇場入りをした時にスタッフも増えてしまって大事なことを忘れていたんですが、このアクシデントのおかげでシャキーンと目が覚めて、自分が彼ら2人と一番近い位置で一緒に制作をしていたことを思い出しました。一緒に作ってんだぞ、この作品!っていう根本を見直せました。

毎回ここに書く文章長いって友達に言われるんですけど、まだこのスタイルに飽きていないし、もう少し出来る気がしてます。はい、以上です!

と、神戸に向かう新幹線でこれを書いてました。今日から11月の個展のために関西入りです。今日から3日間は淡路島に滞在します。現地でもフィールドワークをしますが、怒濤の制作続きだったので、個展設営前に頭の中の整理をしたいと思います。淡路島、楽しみだなー。

雑誌のSWITCHで小さい連載がスタートしました。「蓮沼執太・アクティヴィティーズ」というタイトルでやってます。次のエントリーはこの事について書いてみます。11月は展示もライヴもあるので、みなさん芸術の秋という事で、足を運んでみてくださいませ。

10月の移動

Date

2013.10.14

もう10月も半ばをすぎて、芸術の秋を楽しむ余裕も無く、時間がすぎていきますね。って言っても、そんなにネガティヴな気持ちでも無くて、毎日亀のようなスピードで色々な制作を進めてます。作ったり出演したりばっかりで遊べてないな、って意味です。いまは10月18日から彩の国さいたま芸術劇場での『アルトノイ(島地保武+酒井はな)』ダンス公演の音楽制作、アプリの音制作、CMの音楽、フィルの諸々の準備、そしてそして神戸での個展の制作と立て続けにやってくる波に乗るように時間の合間を縫って、僕は愛知へ行ってきました。

あいちトリエンナーレも観たのですが、メインの目的はカンパニーARICA、ベケット原作『しあわせな日々』を観に行く事でした。僕はARICAの公演を初めて初めて観るのですが、今回は舞台美術に金氏徹平、音楽にイトケン、宣伝美術に須山悠里、という自分と所縁のあるメンバーが関わっているということもあって、これは初演に観に行かねばな!という気持ちでしたね。

トリエンナーレも1日だけでしたが、足を運べるところには運んで様々な作品を観てきました。名古屋市美術館(設計が黒川紀章だというのを初めて知りました。朴訥としていて好きな建築なんですよね・・・)や愛知芸術センター、岡崎シビコなど駆け巡りました。中でも青木淳、アルフレッド・ジャー、青木野枝、ワリッド・ラード、向井山朋子+ジャン・カルマン など他にも気になるのもたくさんありました。モンモンと考えることも多かったですが、展示会場が野外でも、美術館でも、古びたデパートでも、環境がそこに在るのは当然ですよね。そういった環境下でも作品力が高いものが心に残りました。何と言うか、「サイトスペシフィック」という言葉はホワイトキューブの中でも在りえることだし、その言葉自体はあまりに基礎的なことなので、例えば「環境を上手に使おう」という指向が感じられると急激に作品が持つ説得力が失いそうだなぁ、なんて思ったりしました。あまり音楽でもフェスや美術フェアなども足を運ぶのが重めの僕ですが、今回は天候が良かったし、歩き回れる国際美術展としては僕は面白かったです。正直な感想だと連日の休み無しで制作だったので、良い気分転換になりました。

夜はARICAでした。会場ではタイチさんや八木良太さんなど関西で会えそうな友達が来ていて、偶然会うっていいなぁって思ったりしました。原作がサミュエル・ベケットなわけですが、ベケットを使った演劇作品って思い出してもパッと出てこなくて、そんなに熱心に劇場へ足を運んでいた輩ではありませんが、僕は学生時代の小演劇場でちょこっと観たり、なぜか池袋の芸劇とかで観た記憶があります。カンパニーはフランスだった気がします。今でもなんで観てたのかが不思議ですが、古典を勉強しなきゃ、みたいな気持ちが当時あったのかなぁ・・・?さて、ARICAのベケットですが、今回の作品のための倉石信乃さんによる新訳のようで、こちらもARICA仕様となっていて、現代的に解釈されているのかな?と期待も膨らみました。会場に入ってまず驚いたのが金氏さんの舞台美術。前回の岡田利規さんとの『家電のように解り合えない』とは全然違う。その違う感じって、何と言うか、遠巻きで見ると混沌としていそうだけど、木材などの有機物が発する偶然性はあるものの、目を凝らせばこらすほど、実はかなり深いコンポジションの元に構成されてました。まずは第一印象で舞台美術に驚いたし、その日観たどの作品よりも彫刻作品とし群を抜いていました。素晴らしかった。この彫刻の凄さを僕は終演にかけて知っていく事になります。このコンポジションの深さは演出の藤田康城さんにもと共通しました。ベケット自体が持つ文学者との一面と精密性の高い演出の解釈まで徹底して藤田さんのこだわりが入っており、それはカンパニーARICAのメンバーの身体性やチームワークの雰囲気までも飲み込み、ミックスされていました。強いコンセプトやセンス高い解釈とは別のレヴェルで完成度の強度を持っており、非常に共感しました。アフタートークが藤田さん、金氏さん、小崎哲哉さんで行われて、作家の声で、その作品に対する姿勢を聞けた事で僕の作品解釈が拡がったのは、やっぱり古典作品にチャレンジする際はアフタートークって、とても大切なことだなぁ、と思ったり。解釈の方法が気になるものですね。

そして、音楽のイトケンさん。全部生で演奏してると聞いて驚きました。もちろんMAXでのアルゴリズム使いつつだと思うんですが。音の面での、会場環境の理解も素晴らしかったし、繊細な職人仕事!とも言うべき丁寧さ。柔らかいサインウェイヴを重ねたハーモニーだったり、演者の手元の動作音を拾っていき、演出的にもなり音楽的にもなっていく音のアンプリファイの方法など。細かい仕事を挙げればキリが無いほどの要所要所で「イトケン印」が押されてました。唸りましたね。素晴らしかった。金氏さん、藤田さん、イトケンさんといい、僕が最近もっとも関心がある、作品と人間の関係や共有ではなく、作家自身が持つ高い技術をそのまま発揮することで結果的に強い表現に繋がっていき、結果それが統制がとれたコンポジションになっていくような形。とても勉強になりました。(←本当に個人的なことを書いてしまった・・・)

夜は Nadegata Instant Party の山城くんと野田さんの新居におじゃまして、翌日はナデガタ作品もじっくり観ました。彼らの素敵な新居もよい場所で、世界くんもスクスクと大きくなってました。彼に子守唄を作曲する約束を果たさなければね。早く書かないと子守唄なんて必要無い年齢になってしまうんだろうし。

そして、昼間にはもう東京に戻ってさっそくフィルの打合せをして、夜はダンス公演の音楽制作と展示のスタディーを整理してと。あっという間にまた制作の日々にカムバックでした。

いまは原宿のVACANTでこれを書いています。「東京の小豆島 小豆島の東京」というイヴェントに参加しています。作本潤哉さんと毛利悠子さんと僕の3人で「滞在制作」の話をちょこっとしました。イヴェントももう佳境です。

タイトルを決めた

Date

2013.10.11

タイトルを決めた

本当に難産だったなぁ。こんなに考えたのは(悩んだのは)初めてだと思いますね。僕はよく一度作ってしまった作品とその作家(僕)との関係は、完成したら「切れた関係」になる、と思ってます。説明すると、毎日コツコツと作品に向かっていって、毎日触れて、毎日聴いて、毎日見つめていき、それが時間をかけて出来上がる。そして、出来上がると僕は「よし!お前もこれで一人前だな!もう僕のもとから離れて、世界へ羽ばたけ!!」という親心的なスタンスになってしまい、急に毎日時間を共にしてきた作品くんとは、もう僕と違う時間を生きてもらう、っていう気持ちになるんです。これは展示タイトルや共同作業のタイトル決めではなくて、主に音楽アルバムを作った時にそう感じていて、実はファーストアルバムを作ったときから、同じだったので、これはもう自分の性格なんでしょうね。過去に5回くらいあるんですけど、ずっとこの感じ。作り終えたら、僕の物では無くなるんですね。音楽アルバムのタイトルって、作品を作っている初期の時から、何となくモヤモヤとイメージしていって、気になった言葉などのフレーズを手帳にメモとかしちゃったりして、アーカイヴしていって、たまに読み直して、口で発音したりして、その作品とその名前を自分の中で関係をつけていってあげたりします。慣れさせてあげるんです、自分を。最初はどうしても違和感しか残らないんです。うーん、名前を付けるって、本当に難しい。

で、何のタイトルを考えていたかと言うと、蓮沼執太フィルのスタジオ録音アルバムの名前です。7月末にレコーディングを完成させて、この3ヶ月間ずっと、ずっと、考えていました。例えば、僕の過去作は全て造語でした。『OK Bamboo』『POP OOGA』『wannapunch!』『CC OO』と。読み方もよく間違えられるけど、造語というのは、この世にひとつしか無いネーミングなので、僕はとても気に入っています。『ポップ・オーガ』っていうのは、意味はあるんだけど、言葉の響きがすごい好きでした。『シーシーウー』っていうのも、4枚組のCDを並べて記号的に「○(丸)」が4つで「C・C・O・O」ってイメージしていって、こちらも言葉の響きが気に入って採用!になりました。これなら作品の方も「オリジナルな名前を頂けて嬉しいです!」って思ってくれているに違いないです。でも、今回は蓮沼執太フィルなんです。フィルって僕のソロでは無いけど、集団リーダーとしては、自分が名前を決めないといけません。フィルの歴史や成り立ちやメンバーの顔や人柄とか。このアルバムがリリースされて、どういうリスナーに届いて、どういう時間でみなさんに聴かれるとか。CDとかレコードとかPC上とかコンサートとか、今僕らが想像している以上の環境下で、記録された音楽が再生されることもあるかもしれないとか。もしかしたら過去に届く音楽もあるかもしれないとか。本当にいろんな事柄を可能性を捨てずに考えていって、それを何とか、何とかして、言葉に落とし込む、っていうことをずーっと考えてきたんです。長かった。それを昨日の朝、決断しまして、メンバーとスタッフに送りました!メンバーに伝える事が出来て良かった。

さて、この作品がいつリリースされるなど、全然公表されておりません。が、そろそろたくさんの情報が一気に流れてくると思います。フィルの諸々を丹精を込め続けてました。コツコツと。

夏と秋はアルバム制作で眠っていた我々のフィルですが、11月くらいから来年も怒濤のアクティヴィティが見れるはずです。今から僕も心身を鍛えてます。眠っていた分、暴れてやる!っていう気持ちも持ちつつ、フィルの瞬間瞬間を楽しめるように、じっくりとゆっくりとマイペースで歩きたいですよね。みなさんもよろしくお願いします!絶対について来れるスピードなので。

あ、名前のことって言うと、先日タブラ奏者のユザーンとラッパーの環ROYと仙台へ行ってきました。その時にドカッと休憩時間が出来て、目の前にいるユザーンのWEBサイトでQ&Aコーナーがあって、そこに投稿したら、ものの数分で答えをくれました。この鮮やかな解答劇には驚きました。即レスっていうやつですね。作家みたいなスピードだったなぁ。すごいな、ユザーンは。ありがとうーユザーン。

http://u-zhaan.com/q_and_a/

みんなで練習をしよう

Date

2013.10.05

前回のエントリーは日記調だったので、今回は何にしよーかなぁ、と考えているけど、ここのページはすごい気分に流れて、乱筆ペースを崩さずやっていきます。

昨日今日とで、富山に行ってきました。□□□(クチロロ)の村田シゲさんにおよばれしてもらって、『三浦康嗣 × 村田シゲ × 環ROY × 蓮沼執太 × 川崎亘一 × 木暮栄一』というすごい名称で演奏をしにいってきました。

クチロロは WEATHER/HEADZ の先輩とよく言われるのですが、実際に、三浦さんと僕の話では「HEADZの中ではだいぶ俺たち、レーベルアーティストとはキャラが違っているよなぁ。」なんて話すくらいで、全然HEADZっぽくない(っていうと、佐々木さんが「おいおいー!こらこらー!」って言いそうですが。笑)。クチロロはcommmonsっていうレーベルでメジャーデビューをしているし、僕なんかは自由に(?)好き勝手に(?)自分の音楽の中をスイスイと泳がせてもらっているのですが(それもHEADZの寛大さのお陰でもあります)。。。でも、そういう繋がりがあって、一緒にライヴをしたりする仲なんですね。はいはい、いつも通り、前置きが長くなりました。。。

僕はチームやフィルを組織しているから、どうしても「バンマス(バンドマスター)」と呼ばれ、フロントマンとして振る舞います。演技をしてます。でも、演技といっても、フェイクでは決して無くて、一生懸命、全力で演奏をしています。でも、でも、フロントマンという自覚が薄いんです。それでも、世間からはフロントマン扱いをして頂けるので、いわゆる「バンド」のサポート、っていうのに呼ばれません。まあテレヴィジョンのトム・ヴァーレインがニューヨーク・ドールズのサポートはしないっていうか(ちょっと違うかな?)。つまり、フロントマンは中々、サポートに呼ばれないっていうところを、クチロロの三浦康嗣は僕を鍵盤でサポートに呼んでくれるんです。演奏家としてのミュージシャン・シップを持っていない僕としては、そんな三浦さんのオペレーションはまさしく「チャンス・オペレーション」なんです。(こちらはジョン・ケージのソレではなくて、英語的に直訳で。)ということで、クチロロのサポートももう3年くらいやっています。年がら年中ずっとサポートしているというよりかは、年に4日くらい演奏を手伝う、という感じです。

今年もクチロロ『ジャパニーズ・カップル』ツアーに参加して、三重県と大阪、そして東京と3都市を回ってきました。僕はサポートといっても、特にメンバーからは演奏指示は無くて、自由にやっています。ここでもスイスイと泳いでる感じなんですね。リハーサルには参加するけど、特にスコアに起こさず、ジャム(ジャズの)のように音を合わせていきます。生ものに扱う感じでクチロロの音楽に寄り添っていくんです。三浦さんもシゲさんもせいこうさんも生もののように生鮮さを大切にするんですね。これにはサポートをして初めて気付いたことで、驚きました。結果、演奏はジャム色が強くなります。音源では三浦さんの繊細なコンポーズの上で、音楽が動いていくんですけど、僕と同じ考えで音楽の予定調和を強く嫌うから、結果ジャムっぽくになる。でもジャムはジャムでも、センスがとわれるジャムになるんですよね。言葉で書くと「ジャム」しか言ってないんだけど。そこは僕と三浦さんの音楽的な感覚が近くて平然と自由に出来るんですよね。それがあるから、僕もクチロロの音楽や人柄にとても馴染んでいけるんです。本当に感覚的ことなんです。でもこの感覚的な判断というのは、いわゆる即興とは違う心身の使い方をするんです。単純に、一定のフレームを用意して、その中で自由に演奏する、というようなバンド的ジャムの現在進行形なんだと思います。その決定的な違いは身にしみて感じます。

それで、やっと、やっと、本題です。先日、富山へ行ってきたんです。環ROYとthe band apart 川崎さんと木暮さんと。4日連続毎日スタジオでリハーサルをして、新しいバンドとして、お互いの楽曲をミックスしながら演奏していくスタイルでのパフォーマンスになりました。

まずはセットリストを。(ミュージシャンみたいに)

1:GOLDEN KING(□□□曲)
2:ワンダフル(環ROY曲 三浦さん作曲)
3:Hello Everything(蓮沼曲)
4:ハッピーバースデイ(環ROY曲 三浦さん作曲)
5:そうそうきょく(環ROY曲 蓮沼の作曲)
6:ex-girlfriend(□□□曲)
7:仇になっても(the band apart曲)
8;Kids(環ROY曲 三浦さん作曲)
9:仲間(環ROY曲 蓮沼の作曲)
10:moonlight lovers(□□□曲)
11:ONEMAN(蓮沼曲)
12:YES(環ROY曲 蓮沼の作曲)
13:00:00:00(□□□曲)

ec:YOU & I(□□□曲)

環ROYの楽曲は、三浦さんと僕の作曲したものを演奏するスタイルで、1曲バンド・アパートの曲を演奏しました。
コンポジション的に環ROYに書いた僕の楽曲は非常にロックなアレンジが可能で、一瞬で音圧を分厚く出来るし、縮めることもできて、今回の富山公演でバンドアレンジで聴くこと(演奏すること)が出来て、客観的に作曲のお勉強になりました。
それで、本題なんですが、何を言いたいかというと、この一週間で、普段では出会うはずの無いミュージシャンたちを集めて、練習して、本番へ、という流れが個人的に本当に面白かったんです。クチロロや環さんとは前々から友達だけど、川崎さんや木暮さんもリハーサルを重ねて行って、日に日に仲間になっていって、本番で演奏をする。っていうミュージシャンにとっては当たり前で、当然すぎるかもしれない土台を作ってくれて、僕に機会を投げてきたシゲさんにありがとう!と言いたいです。この一週間はアっという間にすぎてしまったんだけど、またどこかで、このメンバーで、この音楽を演奏したいなぁと感じました。それは僕にとって、ミュージシャン・シップを鍛える鍛錬のようで、今までスルーしてきた事柄から前を向いているようで、とても気持ちが良かったです。

感傷に浸っている間も無く、今日は富山の氷見港へ行き、昼すぎに東京に戻り、多くの制作しなければいけない用事を振り切って(まったく振り切れてなく、時間軸だけの話だとただ単に仕事を後回しのようにしているのだけど・・・)SOUND LIVE TOKYO の演目で、クリスティン・スン・キムさんと飴屋法水さん×工藤冬里さんの公演を観に上野へ行ってきました。とってもいろんなことを言いたい気持ちです。(また今度チャンスがあったら)
そして、来週は『アラカワアフリカ4』の展示も終わったり、ユザーンと環ROYと僕の即興トリオで仙台へ行ってきます。ライヴでは無いのだけど、先週も僕のアトリエで3人で集まってはじめての楽曲を作りました。こちらの模様もこのページで色々と綴っていきたいなと思ってます。

富山の氷見港魚市場の写真を。市場にある食堂では、サメの写真だったり、クジラがあがってしまった時の写真、マンボウやタコの写真など、店内の雰囲気が僕にとても引っかかっちゃいました。これらを写真に収めたのでアップしますね。

夏のおわりごろ

Date

2013.09.24

9月17日(火)
大阪での公演の翌日は、インセクツへ。オオルタイチことタイチさんや、neco眠るの森さん、バイオマン、ソウルセットの川辺ヒロシさんやスチャのシンコさんが続々と集まってきた。バイオマンの有機野菜をたくさん購入。奈良のミョウガがとても美味しかった。その足で神戸へ。11月2日から始まる展覧会『音的→神戸|soundlike2』の打合せへ。これで5回くらいは今年、神戸アートビレッジセンターへ足を運んでいる。その分、今年は関西へ来る機会が多かった。最終の新幹線で東京へ。

9月18日(水)
お昼にスパイラルの地下にあるCAYにて打合せ。11月の公演の打合せでした。後日発表します。銀座へ向かって、LIXCILギャラリーで中谷宇吉郎の森羅万象帖展を観にいこうとしたら、休館日。ギャラリー小柳でjanet cardiff & george bures millerの作品を。以前、メゾンエルメスで観たぶりかな?素晴らしい佇まいでした。夜は21日からスタートするプロジェクト『アラカワアフリカ4』の打合せへ。田口行弘さんと西尾美也さんと咲子さんと展示構成のお話。

9月19日(木)
自宅でナイロビ用の作品制作を黙々と。Ensemble ModernのUwe Dieksenの作品をずっと聴く。トロンボーンをボーッと聴くのも悪くない。

9月20日(金)
アラカワアフリカの設営開始。1日で設営である。途中、フィルのアルバムアートワークの打合せで神保町へ。デザイナーはアキラックスこと、佐々木暁。アキラックスはずっとフィルを観てくれていて、僕自身の音楽の成長やフィルの深化をガシッと掴んでくれている人の1人。打合せ後はまた荒川に戻って、設営へ。田口さんペアは朝10時までかかったそう。

9月21日(土)
アラカワアフリカ4スタート。オープニングレセプションにてワークショップメンバーと作品『キベラ・エクスチェンジ』の収録とライヴを行う。50名近い来場者で会場は大盛況でした。10月11日まで展示は開催しています。

9月22日(日)
アントニオ・タブッキ『いつも手遅れ』を読みはじめる。昼は青葉台のお蕎麦屋さん「東京 土山人」へ。久しぶりに行ったけど、すだち蕎麦をそば湯で割った汁は本当に美味しい。目黒川をずっと歩いて、品川へ。2時間くらい、ゆっくり散歩してました。その足でトークイヴェント『ROOT+tamtam vol.1』へ。台北のアーティスト牛俊強(うしさん)とネット上で母国語通しで話、逐次通訳でやり取りをする、珍しい試みのトークイヴェントへ。会場は大入りで良かったですし、何しろ、とても実験的なシステムのトークだったけども、参加者のみなさんも台北とのコンタクトにかかるタイムロスを有意義に使うように、内容ともによいイヴェントになりました。モデレータの小山ひとみさんの試みはこれからも期待したいです。島貫さんとはもっと話したかったですね、いつか機会があればまた。
http://www.root-xiaoshan.com/event/20130922/index.html

9月23日(月)
なぜか朝からダーウィンの『種の起源』を粛々と読み直している。
Oneohtrix Point Never『R Plus Seven』はリッキドルームの山根さんからずっとお薦めされていて、今月のアンセムでした。毎日1回は聴いている。
Oneohtrix Point Never の 映像作品集『Memory Vague』が大好きで、ある意味で Phill Niblock の 『Movement of People Working』 に近い、音楽家(音を用いる作家)の世界観で素晴らしい。今でもよく見直す映像作品。とてもプライヴェイトで作家性と作品観がとてもインティメイトしている。そういう点では、ジョナス・メカス的なプライヴェイトな雰囲気とも映像の質感的に近しい。

「タイポグラッピィ」を生んでしまうひと

Date

2013.09.18

「タイポグラッピィ」を生んでしまうひと

そうです。彼です。大原大次郎さんです。
僕にとって彼は兄貴的存在です。単純に僕より数歳年上ということでもありますが、、、グラフィック・デザイナーという肩書きを背負いながらデザインの根源を掘って掘って掘りまくっていくと、その穴は深く、更には広く、大きいものになっている。それはデザインでもあり、デザイン以上の規模になっている場合がある。それはグラフィック・デザインという分野の外にあることでも、その根っ子を見ると実はデザインの根源を成している。(デザイン、デザインと言い過ぎましたね・・・)

よく領域横断という言葉を僕の活動において定義される事が多いのですが、それはベースとして「音楽」というものが、他ジャンルにおいて必ず存在するということです。舞台には音も音楽もあり、映画にも音も音楽がある。ファッションショーには音と音楽があり、当然ライヴの現場でも音も音楽もある。あらゆる環境下での音や音楽の穴を深く掘っていくと、それは同時に広い穴にもなっていて、大きな音楽になっている。それが偶々に領域横断のように見え、「ジャンルを超える」といった、夢みたいな宣伝文句に近い表現を与えられたりします。おそらく「ジャンルの枠を超える」という表現を持っている多くの人が描く音楽活動というものは「レコードなどの録音物を作る」と「ライヴで演奏をする」という2択しか持ち合わせていないのだろうな、と感じます。勿論、この2点は音楽家にとって非常に大切な要素であるのは間違いないし、僕も最大限の発想と行動で表現しているけれど、実際の「音楽」はもっと大きくて深く、そして広い。で、何が言いたいかというと、それは大原さんが行っている「デザイン」という手法も、考え方は近いのかなぁ、と僕は勝手に思っています。

2013年の現在、「デザイン」というスタンスは個人的にはとても疑ってしまう言葉でもある。それは「アート」という言葉も同じ意味で、こちらが構えてしまう言葉でもあります。(どちらも高校生くらいから疑ってかかっている生意気な人間ですが。)個人的には非常に否定的な意味合いももっている言葉でもある。これは戦後の日本のデザイン史や美術史などを繙いていくと更に現在の両方の意味合いには賛同出来ないことになってしまうけど、それらを拒否するのももったいない。もったいない、というか拒む事で考えれる可能性を狭め小さくすることが、自分の時間軸において惜しいと感じてしまうんです。はい。
さてさて、でもでも、まぁそんな固い考えは棚の奥の方にしまっておいて、大原さんの考え方が細かい考察と自分の置かれている距離や位置の分析、そしてご自身の経験を尊重して、持ち前の兄貴的やさしい人柄と大きな想像力に僕は本当に尊敬しているのです。

そして、本題の『タイポグラッピィ』です。
内容を説明したいですが、事前に大原兄貴から頂いた、オープニングで流すオケのナレーションをした原稿をここに転載します。以下です。

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みなさま、ようこそデザインイーストへ。
これからみなさまを、タイポグラフィとラップが織りなす、
タイポグラッピィの世界へといざないます。

デザイナーではなく、ラッパーによるタイポグラフィの
ショウケース、タイポグラッピィ。

タイポグラフィは本来、ある言葉を文字として書き、レイアウトし、
印刷や映像などのメディアを通して
情報の伝達を発達させてきた、デザインの領域です。

しかしこのタイポグラッピィでは、
タイポグラフィの核でもある、
<文字>という形を、少し疑うところから始まります。

このショウは、毎日さまざまなラッパーを招き、
彼らの言葉、発声と音声による表現を通して、
本来言葉と文字が内在している、意味や、形や、感情を発露させ、
文字にとらわれない、新たなタイポグラフィを描いていく試みです。

どうか目の前に思い思いの空間を描き、
これから繰り広げられる発声と音声によるタイポグラッピィの世界を、
思う存分にお楽しみください。

それでは、本日のゲストにご登場していただきましょう。

__________________

上記がすべてを説明しているのですが、2013年9月14日から16日にかけて行われたDESIGNEAST04という催しの大原大次郎企画として「TypogRAPy」というショーケースがありました。毎日、ラッパーが言葉、発音、音声による表現を通し、固定概念に縛られないタイポグラフィを想起する実践です。その最終日の16日に、僕と鴨田潤さんことイルリメ、そして大原大次郎との3人組でパフォーマンスをすることになりました。

まず、「ツール」「環境」「方法」という大原さんが今回掲げた言葉のテーマを元に、鴨田さんがリリックをオーディエンスと一緒に作っていきます。大原さんの手元を(紙に文字を書いたり、ペンで書く音をアンプリファイされたりします)プロジェクションできるようにカメラが設置してあり、言葉が書かれる映像と音が出力されます。その文字が書かれる紙が楽曲のスコアになり、音はドラムのような打楽器にもなります。その音を僕の手元にあるサンプラー「MPC2000XL」に打楽器の素材としてサンプリングされ、僕はその場でリズムを組みます。その間に鴨田さんはメロディやフック(曲のサビ)を考え、僕はさらにシンセサイザーでメロディや伴奏を即興的に瞬時に作曲していきます。それがその場で演奏され、その時間と空間で作られた1曲をみんなで作りながら、僕らが演奏しながら、みんなで聴く環境が作られます。一夜にして一曲が完成します。

以上を言葉で現象を伝えると非常に複雑なプロセスのように見えます。まあ実際に複雑な方法ではあるけれど、どんな複雑なこともシンプルに伝播させ共有することが僕らの実力や技術のひとつであって、その音楽が作られる現場はみんなで楽曲を見守るようなやさしい空気で進行していきます。

文字を書く動作で音が出来上がる。その出来上がった音にも言葉が内在するし、更に言葉の意味をつけ直す事もできる。例えば、オノマトペ的な音質がそのまま音になり、その音にも言葉の意味がある、、、など、様々な要素が行ったり来たりすることで、書き言葉と読み言葉とその音とその音楽に奥行きが作られ、意味合いが立体化していく。これは鋭いコンセプトに基づいて興味深い試みであるし、デザインの手法で突き詰めているし、音楽の手法で突き詰めていることでもある。こういう行為を多くのひとは「領域横断」という名をつけてもらえるのだけど、当事者(やっている僕ら)は結果として表現の作用が(ジャンル横断的に)拡がるということも理解しつつ、只管深く個人的行為の探求をしているようでもある。つまり「ジャンル」というのは強く存在していて、越える必要も無ければ、ジャンル内で活動をすることが保守的でも革新的でもどちらでも無いということでもあります。そこで表現の方向性を計る物差しにしていること自体の批評そのものが間違っているように思えます。売り物のキャッチコピーのような価値はとっても低い、、、

あ、話が逸れましたが、これら3人の共同作業によって、あらゆる視点からも深みのある表現になることもあり、それは同時にとても各自の仕事において、とても根源的な探求でもある。そういう深みのある作業をこの3人で作れることを僕は素晴らしいことだなぁ、と感じます。こういう状況を生み出してしまう大原大次郎の凄さとイルリメさんの限りない発想力に僕も負けていられないぞ!と思うばかりです。これからも「タイポグラッピィ」をよろしくお願いします。まだまだ産声を上げたばかりです。色々な時間で、色々な場所で、色々なコンディションで、音楽を現場で作っていきたいですね。柔軟なコンポジションを。