蓮沼執太 | Shuta Hasunuma

無焦点 レコードプレイヤー

Date

2014.02.19

無焦点のレコードプレイヤーと盤について

このレコードはA面とB面には違う楽曲がカッティングされてます。基本的に日替わりで楽曲が変わるわけですが、朝一でナディッフのスタッフさんに盤をひっくり返してもらっています。再生される楽曲が異なることで作品の立ち上がり方も変化します。このターンテーブル、とてもデリケイトなのでご注意しながら操作ください!

3月からナディッフアパートで選書もはじまります。会期も中盤です。ぜひお時間あるときにいらしてください。1人で作品を鑑賞されるのが今回はベストだと思います。

http://www.nadiff.com/gallery/hasunumashuta.html

集まってやることへの、もう一歩先。

Date

2014.02.18

2月11日、神奈川芸術劇場ホールにて『作曲:ニューフィル』終演しました。会場フルハウス、多くのオーディエンス、スタッフ、メンバーのみなさん、どうもありがとうございました。

さて、集合知の在り方の実践をライヴの現場でやっていく。僕の中ではフィル中期(2012年くらい)で試みていたコンセプトでした。2013年のオペラシティでのニューイヤーコンサートから形式を徐々に対面式(いわゆるコンサートスタイル)に変更し、4月WWW、7月国立国際美術館、12月ハラジュクパフォーマンス+ドミューン、と集合知的な考え方から、よりボトムを締めていくスタイルにしていきました。その良いタイミングでフィルのレコーディングが位置づけられています。僕がインタビューなどでよく言ってしまうフレーズ「強い音楽」というのは、このボトムを締めていく音楽スタイルに当たります。これは全く「集合知」では無い考え方。僕が作った答えとその問いが在る方法論。あるコンポジションされた規則に沿って上演することのストレートさ。それを今度は現場で、生身の人間による上演をやっていく、というごくごく普通のトップダウン型のクラシックオーケストラにみられる形を現代的にやっていく、というのがこの2年くらい最も関心がある考え方です。

そのセカンドステップを『作曲:ニューフィル』で個人的にチャレンジしてみました。演奏陣は蓮沼フィルのメンバーに出演していただき、通常の(というか、フィルのレパートリー)演奏だったのですが、それを固定化し継続していくことで、自由なアレンジと即興は介在させず、コンポジションのままに演奏してもらうスタイルを作っていきました。演奏してくれたフィルメンバーも来場してくれたオーディエンスも「フィルのアルバムリリース後で脂がのった良い演奏!」って感じだったと思うし、実際に素晴らしい演奏でした。僕も演奏の和の中にしっかり居たわけですが、やはり客席で自分が作曲した楽曲を聴いている感覚もあり、作曲者自身の心の声としてもコッソリと次の試みを進めつつ、フィルメンバーによるアンサンブルを楽しんでいました。つまり、作曲者のコンセプトなんて現場ではただ芯に在れば良いだけで、実際の環境を作っているのはそれ以外の全ての要素です。そんな感想を公演後に体系的に抱きました。だけど、それは数年前のコンセプトに掲げていた集合知から一歩進んだ考え方だとも改めて確信もしました。不特定多数と共に作り上げる新曲「Time plays – and so do we.」も演奏しましたが、これも集合知的な考え方では無く、演奏者(毛利さんの装置や髙田さんの照明や菊地さんデザインのスコアや会場のオーディエンスも)の特徴を考えつつ、上演ギリギリまでパフォーマンスのイメージをし続けた結果に生まれた形だったと思います。毛利さんと髙田さんとは最後の最後まで一緒に考えたけれども。つまり一方通行。多様性の擁護だったり、窓口が広かったり、スポンジのような柔らかさがこれまでにフィルならば、今は集合としての固まりを一人称化し、一個の答えを貫けるような上演形式にしていく方針でやっていくような。
はい、理屈が続きましたが、これからツアーがスタートします。上記で述べているとおり、引き続き「強い音楽」というキーワードのもと、作曲者はツアーを作っていこうとしています。「強い」という意味はどちらかというと今までのフィルの活動とは反対に位置する言葉なのですが、じっくりと1年以上かけて舵を切ってきたので、3月から思いきって上演していこうと思います。おそらく9月にレコーディングをした時が奏でるよりも時が奏でると思います。そういうプログレッシヴな状態であることがフィルの良いところだと思ってます。名古屋と札幌公演の情報がひっそりとシークレットになっていますが、いよいよ公開します!そして、東京公演2DAYSは、僕のライフワーク『音楽からとんでみる4』です。まだまだ色々な事が起こりますよ!!

http://hasunumaphil.com/

03.01 いわき市立草野心平記念文学館
03.07 広島 CLUB QUATTROodekake
03.08 カフェレストMIMOCA (香川 丸亀)
03.15 札幌 Coming Soon
04.12 元・立誠小学校 (京都)
04.13 名古屋Coming Soon
04.26スパイラルホール (東京) 「音楽からとんでみる4」対面型フィル
04.27スパイラルホール (東京) 「音楽からとんでみる4」全方位型フィル
05.05ヴァンジ彫刻庭園美術館/クレマチスガーデン (静岡)

個人的なコミュニケーション

Date

2014.02.14

今日は環ROYイヴェントのリハーサルだったのですが、大雪により中止に。ポッカリと休みが出来た。うれしい。
インタビューや掲載記事がいくつかあるのでここでアップしておきます。

時を奏でる、ではなく時が奏でるフィルハーモニック・ポップ・オーケストラの音楽
(タワーレコード イントキシケイト by 松村正人)
http://tower.jp/article/interview/2013/12/17/shuta_hasunuma

空間を作曲しスコア化するということ(マグカル with 毛利悠子)
http://magcul.net/focus/hasunuma_mohri/

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人に指摘されて初めて「あぁ、自分ってそうなんだ。」と気付くことって多い。最近もその気付きがあったわけですが、知らず知らずこれを30年間もやっていたとすると、それは人生においてとんでもない事だし、今さら変える事も出来ない。それに変える必要もないんだけども。それよりもそのクセのような事をもっと進めていく事の方がより自分のものになるのだとも思う。知らず知らずにして自分の中で常識化していたクセは恐ろしい強み。ぜんぜん弱くない。

作曲行為の移行と本質 -メモ-

Date

2014.02.10

2月6日から16日まで中目黒にあるHAPPAで個展『音的→中目黒|soundlike2.5』を開催しています。そして、11日(祝・火)にはKAAT 神奈川芸術劇場ホール にて『作曲:ニューフィル』を開催します。前者は昨年神戸アートビレッジセンターで制作した図形楽譜とその演奏、リアリゼーション、録音した音楽が流れているインスタレーション。後者は4年間続けてきた蓮沼執太フィルの楽曲の演目すべてをスコア化し、照明、音響、衣装、舞台美術のすべての設計図(インストラクション)を記述する試みです。オールスコア化します。

前者の展示では、図形楽譜は歴史を振り返るまでもなく、いわゆる戦前戦後のいわゆる現代音楽の世界で知られている作法ですが、スコアという演奏指示に対して、リアリゼーションの多様性を認めつつも、即興は認めておらず、僕自身が記譜し(シルクスクリーン)、自分で全て演奏、録音して音源にする、というレコーディングの為の音楽です。

後者の公演では、作曲行為というのは五線譜の記譜という古典的手法は踏みつつ、さらにその立ち上がる音楽と環境すべてを記述し残していくという作品です。肝心のフィルメンバーによる演奏は今年に入ってリハーサルも何度か行っていて、コンディション良いです!!

と、ここで、連日の設営、フィルのリハーサル、公演の準備と、日々動きすぎて(さらに毎日寒いし。。。)と、心身ともに弱っていた(自信をなくしていた)ところに、
細馬宏通さんの連続ツイート「音楽における記譜の偏重について」に救われました。これは時事問題への批評になっていると思うのですが、近々で僕が扱っているテーマとシンクロしすぎていたので感銘を受けました。
http://togetter.com/li/627447

この文章と共に、2月11日での『作曲:ニューフィル』の会場で配布される、佐々木敦さんからのニューフィルへの寄稿文も合わせて読んで頂くと、自分の考えがいくつもの批評によって、さらに整理されていくことが俯瞰的にも内側からも伝わってきています。

展示はナディッフ ギャラリーでも行っています!『無焦点|unfocussed』2/6 – 3/30 まで開催しています。
こちらはまた今度長めの文章を書こうと思いますが、個人の考えとしては、相変わらず常の更新を忘れないアプローチをしている感じになっているはずです。是非ご来場くださいね!
作品集も2月中旬に発表出来る予定です。良い出来映えです!こちらも追ってアナウンスします。

蓮沼執太展『音的→中目黒|soundlike2.5』@HAPPA(中目黒)
2/6 – 2/16
http://www.shutahasunuma.com/activity/2735/

蓮沼執太『無焦点|unfocussed』@ナディッフ ギャラリー(恵比寿)
2/6 – 3/30
http://www.nadiff.com/gallery/hasunumashuta.html

蓮沼執太『作曲:ニューフィル』@KAAT 神奈川芸術劇場ホール
2/11 open16:30 start17:00
http://www.shutahasunuma.com/performance/2697/