蓮沼執太 | Shuta Hasunuma

1/21 2021

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2021.01.21

落合タムさんはニューヨークでよくお家に呼んでもらってワイン飲んだり、色々な話をしたり。尊敬しているアーティストひとり。メゾンエルメスでの個展の内覧会に誘っていただき、久々に会ってきた。コロナ以降連絡を取り合っていなかったので、色々と意見交換が出来た。そして、作品も素晴らしかった。自然光が入る日中に再訪しようと思う。

資生堂ギャラリーで「アネケ・ヒーマン&クミ・ヒロイ、潮田 登久子、片山 真理、春木 麻衣子、細倉 真弓、そして、あなたの視点」を。この空間に足を運ぶと、やはり自分の個展のときの記憶がどーっと蘇ってくる。でも、それがぼくの視点、という見え方でもあるのかな、と思わせるグループ展だった。力強さを感じながらも、丁寧で繊細な印象を受けた。

「輝板膜タペータム」落合多武展 Tapetum Lucidum by Tam Ochiai
https://www.hermes.com/jp/ja/story/maison-ginza/forum/210122/

https://www.realtokyo.co.jp/exhibition/tam-ochiai-itinerary-non-tomio-koyama-gallery-2019-1-12-2-9-2/

1/20 2021

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2021.01.20

朝、エンジニアの葛西さんから蓮沼フィルのラジオ用ライブセッションのミックス音が届いていた。朝5時前に届いていたので、この時間まで作業してくれたんだろうか。ありがとう。それを聴きながら午前中を過ごす。圧倒的なミキシングでとても嬉しくなる。自分たちの手で音楽を作っている結晶見たいな音で、力が入る。仲間と作品を協働する歓びはこういう部分でも感じれる。

散歩をしていると、街の飲食店の厳しい状況がヒシヒシと感じられる。張り紙から伝わってくる心情が厳しさを物語っている。もちろん飲食店だけではなく、文化芸術面でも劇場、ミニシアター、ライブハウスなどの危機的状況、想定される損失額のニュースなど、悲痛な報せが多い。通常国会も先日から開かれて、今日文化芸術支援に関する対策への言及もあったよう。

昼間からずっと作業。ピアノの響きがだんだんとグルーヴを持たせていくような曲を作っている。ループ再生にして、寒いけど窓開けながら風を通しながら聴いていた。ユザーンからもタブラ音が送られてきていた。

夜は連日フィルの短めのミーティングをして、瀬田なつき監督による『HOLIDAY』MVの公開準備など。

写真は南フランスの海辺。

1/19 2021

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2021.01.19

心身ともに健康でないと作品制作は出来ない。こんな状況下で様々な要因で健康というものを崩してしまうことも少なくない。作品が出来ないというよりも、健康という状態の方がアイデアが浮かびやすいし、手だってよく動く。どこからが健康であって、どこからが不健康、という領域はそもそも無いはずで、自分の心身というのは常に可変しているんだけど、それでも自分が「健康」で「元気」という状態の方が、良いという気持ち。

すごい気にかかってしまうメールをいただいた。読んでいて、とても参ってしまった。ちょうど昨日受けた取材で気持ちをギフトや物として伝えることについて考えていたこともあり、送る文章というのは気持ちを伝える方法のひとつであって、必ず相手が自分の書いた文を読むことが前提とされる。なので、僕はいつも出来る限り、自分が書いた文を読む側の立場になって書いてしまう癖がある。

気を紛らわそうとする読書も身に入らないし、音楽も聴く気にならない真夜中が訪れる。朝方に少し寝て起きた。天気も良くて部屋の掃除をして気分を変えた。そうやって自分の居場所は自分で作っていって、変えていって、世界と触れ合っていく。このサイクルが連続していって生活、日常、習慣となる。そして、こうして日記にもなる。

1/18 2021

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2021.01.18

午前中からお昼まで取材を受ける。コロナ以降、対面でのインタビューはだいぶ減ったのだけど、今日はしっかりと対面で。もちろん感染症対策はしっかりしつつも、その分だけ対話をおこなうにしても、気持ちを込めて自分の考えを伝えなきゃな、と思ったりもする。話していた内容もギフトや気持ちを伝える、という内容だったので余計にそう感じたのかな。

午後、倉庫に行って資料などをピックアップ。ドラマの完本が届いていて、いよいよこの音楽制作もはじめなければな、と気持ちが昂ぶる。昨日から続けている映像音楽の作業をして、ひとまずラフスケッチを作り上げて、監督に送る。

そして、中断していた都内の宿泊施設のための音楽(数曲)の制作作業を再開。同時進行でいくつかプロジェクトが走っているけど、少しずつ進めていくしかない。

その分だけ、蓮沼フィルの事務作業が出来ない。そんな日もあるのだけど、そろそろ発表が近くなってきた。

1/17 2021

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2021.01.18

昨日録音した素材を並べて、制作に取り掛かる。6組出演する映像にそれぞれ音楽をつけていく。映像のマテリアルは写真が含まれる予定で、マクロ的視点とミクロ的視点を行き来するような動きを音、音楽で作っていきたいと考えている。昨今の自分のテーマとそれほど差が無いので具現化しやすい。

映像の前に、まずは音楽からスタートして欲しい、とのオーダーだったので、まずは音楽から。どうしても時間が敷かれた上で音を配置していく方法しかなくて、流れる時間中ずっと音が鳴っている。それが窮屈に感じるけど、そうやって全体の方向性と指針を作っていこう、と覚悟して手を動かしていく。

写真はシュトックハウゼンのオペラをニューヨークのThe Kitchenで観た時に、ジョアン・ジョナスがパフォーマンスをしているところ。

1/16 2021

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2021.01.18

吉祥寺にある GOK SOUND でレコーディング。エンジニアの葛西敏彦さんと一緒に。近藤さんもお元気でよかった!監督の河合宏樹くん、プロデューサーの金森香さんも見学に。写真家のリリー・シューさんとも意見交換をしていく。映像のための音楽の素材レコーディング。何年ぶりにピアノをレコーディングしたんだろう。鍵盤を弾く時間は極少なかったけども、音の響きと対話していく録音作業だった。

河合くんとの話は楽しい。とてもピュアで楽しい。素直な感性で体が動いていく姿勢は接していて刺激になる。どうしてもエゴだったり、ちっぽけで余計な邪念が入りがちになってしまう自分が情けなく思う。

レコーディング時のこと。葛西さんは相手によって音の録り方を変えていると思うけど、「しゅうちゃんは素直なピアノの音が良いと思って、それに合わせてマイク選んだよー。」と気軽に言ってくれるが、その音を聴くと本当にピュア。河合くんの感性や葛西さんの録り音にもピュアさを感じる。

1/15 2021

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2021.01.15

今日家にある手に取った本『身体・気象・言語:田中泯・松岡正剛』(1978年、工作舎)。お2人のダイアローグが収められている、松岡さんの書籍である。言語という波動にのって楽しく踊れた初めての即興だったと語るエピローグに田中泯さんのテキストがある。『始まりも終わりもないインプロヴィゼーション』という題で、松岡さんとの対談の後に、ロンドンでデレク・ベイリーとデュオのパフォーマンスが行われたそう。

以下、引用。

・・・・

ロンドンでデレク・ベイリーとデュオのパフォーマンスを持ちました、空中に浮かぶ微細な音粒子を見ます。身体は音粒子によって支えられその粒子性を強烈に印象します。

・・・・

身体の記憶、場所の記憶という対話からはじまって、エピローグは「音との即興パフォーマンス」に続いていく。

1/14 2021

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2021.01.14

決定しないといけない事がいくつかあって、ずっと考えている。ひとつはタイトルの名前、ひとつはアーティストへのダイアローグ、ひとつは取材を受ける中身、ひとつは寄稿文に関する内容など。机の前で黙って考えていても、ポッ!と答えが出てくるわけでもないので、手を動かしながら、自然とアイデアが湧き出てくるのを待つしかない。アイデアが湧かずに、なにひとつ決まっていかない状況が続くと「ずっと考えごとをしているなぁ」というモヤモヤ気持ちになっていく。

でも、思考からはじまる、ということは、それが物事の入口でもある。後になって、モヤモヤを辿っていけば考えごと自体に深みが生まれていることに気づく。モヤモヤもそんなに悪くない。そうやって、ずっと思考していく。

おとといレコーディングしたフィルのセッション音源をミックスなど。写真はウォーホル。

1/13 2021

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2021.01.13

昨日のメンバー会合に続いて、今年初の蓮沼執太フィルのスタッフミーティングなど。お題は去年末に発表した【4/23 オーチャードホール公演】に関して。先日、緊急事態宣言が出たことによって、また状況が変わってしまった。ただ変わっていく状況に一喜一憂もしていられない。少しずつ少しずつ準備していくことでコンサートは徐々に出来上がっていく。昨年末に書いた文章をここには転載しておこう。

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2021年4月23日(金)Bunkamura オーチャードホールにて、蓮沼執太フィル公演を開催します。はたして来年の春に、無事にこの演奏会をひらけるのでしょうか?正直、まだ僕にもわかりません。だけど、公演開催にむけて、今できることを少しづつ、丁寧に、準備をして進めていきます。楽しみに待っていてください!

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急に昨日から、蓮沼フィルのモードに入っている。他者が集って何かを作り上げる事のはじまりを感じている。もちろん興奮を覚えるが、今回ばかりは先が見通せない不安が無いわけでもない。でもでも、進んでいこう、という心持ち。

1/12 2021

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2021.01.12

来月から音楽担当をする脚本を繰り返し読んでいる。時制が複雑な話なので、セリフだけ読んでいても、「時」が整理されない。自分の中で「時」を整理していかないと、知らずしらずに置いてきぼりになっている。

夜は、今年最初の蓮沼執太フィルの会合。ゴンドウトモヒコ・スタジオ studio no-nonsense(通称、ゴンスタ)でセッション・レコーディング。今月放送のラジオ番組のための演奏。去年リリースした楽曲を中心にパフォーマンス。ゴンちゃんの敏腕的レコーディングとメンバーのチームワークで短時間で収録完了。良い音で録れて嬉しいね。一人で煮詰まって作曲作業していた毎日だったので、メンバーと会えて心身整った感じ。こういったところにもコロナで人と会いにくい影響って出てるんだな、と感じる。