蓮沼の体重53.9kgの水が入ったボトル77本を来場者が展示室内で移動させる作品。展示室内がスコアという空間であり、ボトルが音符のようにして、時間と共に空間のコンポジションが変化していく。ボトル中の水も会期中に蒸発をしていき、音のように空気に混ざっていく。
蓮沼執太『Compositions』
ニューヨーク・ブルックリンのレッドフックに位置する複合アートスペースPioneer Worksにて、蓮沼執太の個展『Compositions』が2018年2月23日(金)〜4月8日(日)まで開催されました。 アメリカで初個展となる本展では、12月より同施設でのレジデンシー・プログラム中に滞在制作された新作を中心に発表致しました。 また、本展オープニング・イべントとして、アルバム『2 Tone』を共作したタブラ奏者のユザーンとパフォーマンスも行いました。
Introduction
蓮沼執太のアメリカでの初個展「Compositions」は、Pioneer Worksのビジュアルアーツ・レジデンシープログラムで制作された新作を中心に、Pioneer Worksの2階と3階のギャラリースペースにわたって展開されています。
蓮沼の幅広い音楽活動は、彼自身のアンサンブルである「蓮沼執太フィル」から、舞台、ダンス、映画等への楽曲提供、環境音や電子音を中心としたサウンドワークなど様々な分野まで及んでいます。また一方で、世界的に活躍する様々な音楽家とのコラボレーションも多数行っています。 蓮沼の探究心に富む制作の根源となるとなるものは、時空間における音の収縮、音の配置、音の可視化であり、音や音楽という非物質的なものが、どのようにして人間の間において物質的および身体的な受け渡しが可能なのか?という問いへの実践です。
それは、世代、性別、人種などが異なる人々が一つになる状況や環境を作り出すことであり、蓮沼の作品は、我々がまさに「音」や「音楽」と呼ぶものを、改めて認識する取り組みでもあります。 多様な表現を通して、蓮沼は現在の社会を取り巻く状況や構造から、新しい見解を探求し続けています。
Pioneer Works
開催概要
- 日時
- 2018年2月23日(金)— 4月8日(日)
- 会場
- Pioneer Works
159 Pioneer Street, Brooklyn, NY 11231
- 主催
- Pioneer Works
- 助成
- 株式会社資生堂、公益財団法人テルモ生命科学芸術財団
- 写真
- 後藤武浩
- プロジェクトマネジメント
- 柴田とし / 高橋龍
- 謝辞
- Dustin Yellin,Gabriel Florenz,David Everitt Howe,Vivian Chui,Justin Frye,James Clark,Michael Kelly,砂入博史,Gabe Rubin,Jade Payne,Ken Farmer,石黒宇宙
オープニング・レセプション / パフォーマンス
- 日時
- 2018年2月23日(金)19:00 – 21:00
- 会場
- Pioneer Works 1F North Hall
- 出演
- 蓮沼執太&ユザーン
Installation view
Camera : Takehiro Goto
Edit : So Isobe
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Fluid Compositions
2018
Water-filled 77 bottles, Instruction- “Pick a water-filled bottle. Move and place it wherever you like on this floor in this room.”
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Boomerang
2013/2015/2017
Single channel video, Sound, Monitor
17:42蓮沼が作ったメロディーを聴きながら、同時に歌ってもらう作品。東京、青森、北京で撮影。同じメロディーでも、 人間を介すことにより異なるメロディーになる。この作品ではメロディーを対象としているけど、日常において、 人々が共有しているであろう事柄も、実際に人間を通すことによって、そのアウトプットが異なることが多々ある。 固定概念を常に疑い、自分の判断で生きていかねばならない。
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Walking Score in Tokyo, Beijing, New York
2016/2017/2018
Single channel video, Microphone, Cable, Map
1:16:10- Cinematographer(Tokyo,Beijing) : Yuma Maehara
- Cinematographers (New York) : Retsu Motoyoshi, Yuichi Uchida
蓮沼が展覧会会場周辺のフィールドワークを行う。フィールドレコーディングを行うことにより周辺環境をリサーチしてゆくわけだが、この作品はマイクを転がしながらレコーディングをしている。まさにフィールドを録音しているユーモアな映像作品。
しかし、実際に歩くことはその環境を直接的に認知できる重要な手段でもある。それを「録音」という手法を使って、映像というメディウムに落とし込んだ作品とも言える。 -
Studies
2018
Mixed media, 2 channel video and Music
26:15, 36:03- Players:Nobutaka Aozaki, Christina Daniels, Becky Elmquist, Shuta Hasunuma, David Everitt Howe, Michael Kelly, Nate Lewis, Ethan Primason, Gabe Rubin, Toccarra Thomas
フィルミングでは、Pioneer Works 1Fのthe north hallにて、4つのスカルプチャー、数種類のもの、タンバリンとトーンチャイムの楽器を配置し、10人に数分間自由に即興で音を出してもらった。プレイヤーの10名は主にPioneer Worksで勤めている人、その周辺の人である。
演奏のうまさや下手さは関係なく、性別、年齢や国籍も関係なく自由にセレクトされたメンバーである。録音と撮影された映像と音を編集し、2つのヴィデオを制作。空間にスカルプチャーと2つの映像(と2つの音楽)を設置したインスタレーション作品。 -
Opening Performance
23 February, 2018
Shuta Hasunuma × U-zhaan
Pioneer Works / North Hall