2013年9月11日で僕も30歳になりました。
30という数がどういう意味を持っているのか、実際に僕にはわからないのですが、何となく日々の時間の更新で人の年齢が30という数を超えました、という気持ちです。それでも活動を始めて、30歳までには、あと1枚アルバムを完成させたい、というぼやぼやした目標を持っていて、それが先日の9月9日に蓮沼執太フィルのオリジナル・レコーディングアルバムのマスタリング作業が終わって、アルバムの音楽が完成しました。そのささやかな歓びを引きづりながら、11日の誕生日へと緩く感情が繋がっていきました。(アルバム完成までには、まだ道のりは長い。)
先輩からは「30を越えたら、いろんな事がどうでも良くなって、大胆に行動出来るよ!」や、「30代は面白くなるよ。身体が変わる、自身も身の回りも変化に富むよ。」など、多くの前向きなアドヴァイスを聞いたりもする。では、僕はどうなるんだろうか。確かに年を重ねるにつれて、前までは気にかかってしまっていた小さい事柄も、失敗したり、成功したり、色々な経験など積んだりして、あまり気にならなくなったりする。物事を肯定する力がちょっとだけ広くなったりしていると思えたりします。けど、こういうものって、やっぱり日々刻々と変化していることで、ある区切りがついて見つめ直すと「あー、そういうところ、変わったかもなぁ。」なんて、思ったりするもんです。
さて、30歳になる前に、やったことが無いことをしよう!という気持ちが出てきました。スカイダイビングやパラグライダーみたいな、今後自分がやるかどうかわからないようなチャレンジをしてみたいと、思ったりしました。それで思いついたのが断食。僕は無宗教で信仰も無い人間なので、自分の体の変化を楽しむ感じで断食をやってみました。トータルで1ヶ月間のプログラムで、2週間かけて食をだんだんと減らしていき、完全に食を断つのは1日のみ。その後は2週間かけて徐々にまた食を増やしていく、復食をしていきます。ちょうど9月5日と6日は渋谷WWWでライヴでした。5日は古川日出男さんと空間現代とのコラボレーション。6日は8月のツアーから引き続き□□□(クチロロ)のサポート、そして7日はグループ展『アラカワアフリカ4』のワークショップを兼ねた説明会でした。完全断食日が次の日、ちょうど9月8日でした。この数日間は午前中はみっちりヨガで運動をして、午後は普段通りに生活をしていました。この運動が今回の断食の特徴でした。その午後の「普段通り」というのが、ライヴ2つとワークショップという、何とも体力と知力を使いそうなことでした。更に、マスタリング直前の蓮沼フィルのミックス作業の大詰めでもあり、本当に何がなんだかわからないくらいの早いスピードでいろんな事が駆け巡っていきました。まず、食を少なくしていくことで、体の変化に敏感になります。よく「神経が研ぎ澄まされる!」と言ったような素敵な言葉が聞けたりしますが、僕の場合はそんなキラキラしたものでは無く、健康な体の状態で内側のちょっとした違いに気が付いたりします。例えを出すのもむつかしいのですが、よく風邪をひくと体がだるくなりますよね。それは体が不健康な状態での変化です。そうではなくて、健康な状態で自分の体が変化している、っていう事に気付けるのが凄い事だなあ、と感じました。いわゆる、ファスティングをしていたので、体の中にあるものも断食までに全部体の外に出します。これ自体は大変なことだと思うし、何となく体に悪い気がしなくもない。。。
まだまだ変化があります。次に、食を細くするにつれて、体が動き易くなりました。また朝の寝起きも普段より楽になりました。これは簡単で、毎日人は食べ物を食べるのに多くの体力を使って、口に運び、内蔵で消化していることがよくわかります。もちろん、これは僕が感じたプリミティヴな変化だから、個人差は当然あるはずです。もう1つ、断食と共にやったことがあります。それは人間ドック。ずっと挑戦してみたかったことを30歳前に出来ました。いま思うと、断食も人間ドックもどちらも自分の体に関すること。自分の体に興味があった証拠が天然な形で現われたなぁ、と思いました。時間の経過を心や記憶ではなくて、自分の身体でどの程度刻まれているのか?という問いを調べたり、変化を与えてあげることで、時間を試したかったんでしょうね。もちろん、結果は健康体でした。よかった。
変化といえば、TwitterとFacebookをやめました。脱SNSも健康によさそうですね。何と言うか、人と人とのコミュニケーションも、例えばフィルだったり、他ジャンルのアーティストとの共同作業だったり、日常生活の交流などで、どんどんとその交わり方が更新していくわけですけど、この2つのメディアだけは、何度やっても何度やっても、深いコミュニケーションまで繋がった気が、いつまで経ってもしなかったです。やっぱり単純に向いてないんだろうな。こういうページでちょっとだけ長い文章をつらつらと書いている方が自分には合う気がします。
最後に。本当にプライヴェートですが、この写真は誕生日会の終わった後です。30代へ!という区切りのよい日、平日という忙しい中でも友達が祝ってくれたことに大きな感謝がしたいです。どうもありがとうございました。