蓮沼執太 | Shuta Hasunuma

集まってやることへの、もう一歩先。

Date

2014.02.18

2月11日、神奈川芸術劇場ホールにて『作曲:ニューフィル』終演しました。会場フルハウス、多くのオーディエンス、スタッフ、メンバーのみなさん、どうもありがとうございました。

さて、集合知の在り方の実践をライヴの現場でやっていく。僕の中ではフィル中期(2012年くらい)で試みていたコンセプトでした。2013年のオペラシティでのニューイヤーコンサートから形式を徐々に対面式(いわゆるコンサートスタイル)に変更し、4月WWW、7月国立国際美術館、12月ハラジュクパフォーマンス+ドミューン、と集合知的な考え方から、よりボトムを締めていくスタイルにしていきました。その良いタイミングでフィルのレコーディングが位置づけられています。僕がインタビューなどでよく言ってしまうフレーズ「強い音楽」というのは、このボトムを締めていく音楽スタイルに当たります。これは全く「集合知」では無い考え方。僕が作った答えとその問いが在る方法論。あるコンポジションされた規則に沿って上演することのストレートさ。それを今度は現場で、生身の人間による上演をやっていく、というごくごく普通のトップダウン型のクラシックオーケストラにみられる形を現代的にやっていく、というのがこの2年くらい最も関心がある考え方です。

そのセカンドステップを『作曲:ニューフィル』で個人的にチャレンジしてみました。演奏陣は蓮沼フィルのメンバーに出演していただき、通常の(というか、フィルのレパートリー)演奏だったのですが、それを固定化し継続していくことで、自由なアレンジと即興は介在させず、コンポジションのままに演奏してもらうスタイルを作っていきました。演奏してくれたフィルメンバーも来場してくれたオーディエンスも「フィルのアルバムリリース後で脂がのった良い演奏!」って感じだったと思うし、実際に素晴らしい演奏でした。僕も演奏の和の中にしっかり居たわけですが、やはり客席で自分が作曲した楽曲を聴いている感覚もあり、作曲者自身の心の声としてもコッソリと次の試みを進めつつ、フィルメンバーによるアンサンブルを楽しんでいました。つまり、作曲者のコンセプトなんて現場ではただ芯に在れば良いだけで、実際の環境を作っているのはそれ以外の全ての要素です。そんな感想を公演後に体系的に抱きました。だけど、それは数年前のコンセプトに掲げていた集合知から一歩進んだ考え方だとも改めて確信もしました。不特定多数と共に作り上げる新曲「Time plays – and so do we.」も演奏しましたが、これも集合知的な考え方では無く、演奏者(毛利さんの装置や髙田さんの照明や菊地さんデザインのスコアや会場のオーディエンスも)の特徴を考えつつ、上演ギリギリまでパフォーマンスのイメージをし続けた結果に生まれた形だったと思います。毛利さんと髙田さんとは最後の最後まで一緒に考えたけれども。つまり一方通行。多様性の擁護だったり、窓口が広かったり、スポンジのような柔らかさがこれまでにフィルならば、今は集合としての固まりを一人称化し、一個の答えを貫けるような上演形式にしていく方針でやっていくような。
はい、理屈が続きましたが、これからツアーがスタートします。上記で述べているとおり、引き続き「強い音楽」というキーワードのもと、作曲者はツアーを作っていこうとしています。「強い」という意味はどちらかというと今までのフィルの活動とは反対に位置する言葉なのですが、じっくりと1年以上かけて舵を切ってきたので、3月から思いきって上演していこうと思います。おそらく9月にレコーディングをした時が奏でるよりも時が奏でると思います。そういうプログレッシヴな状態であることがフィルの良いところだと思ってます。名古屋と札幌公演の情報がひっそりとシークレットになっていますが、いよいよ公開します!そして、東京公演2DAYSは、僕のライフワーク『音楽からとんでみる4』です。まだまだ色々な事が起こりますよ!!

http://hasunumaphil.com/

03.01 いわき市立草野心平記念文学館
03.07 広島 CLUB QUATTROodekake
03.08 カフェレストMIMOCA (香川 丸亀)
03.15 札幌 Coming Soon
04.12 元・立誠小学校 (京都)
04.13 名古屋Coming Soon
04.26スパイラルホール (東京) 「音楽からとんでみる4」対面型フィル
04.27スパイラルホール (東京) 「音楽からとんでみる4」全方位型フィル
05.05ヴァンジ彫刻庭園美術館/クレマチスガーデン (静岡)