去年末に鼎談があって、生態音響学者のバーニー・クラウスのニッチ仮説が話題にあがった。いわゆる音による自然学とも言うべき話で、The Great Animal Orchestra という本がとてもユニークだったことを思い出した。ユクスキュルの「生物から見た世界」のように生態系の表現を音でリサーチしていくもの。共生物による自然の音(ジオフォニー)、 人間以外の野生生物が発する音(バイオフォニー)、人間が出している音(アンソロフォニー)が3つの基本音源としている。鼎談の後、書庫からこの本を探すのが困難で再度購入して読み直している。
年の瀬に坂本龍一さんからラジオ番組に誘っていただき収録をしてきた(今夜24時オンエア)。デモテープのオーディション・コーナーをご一緒したときに、日常の音の再発見が新しい音の視点を作る、というような話が坂本さんからあった。クラウスがあげた3つの音の概念が溶け合うような音や音楽が多かったことが印象的だった。アンソロフォニー的な文化の音がどうやって自然の音に溶け合っていくことができるのか。まだまだ考える必要があるし、自分はひたすら実践しかない。