2019年10月に資生堂ギャラリーで開催された展覧会『Surface and Custom 展』のカタログを読んだ。アーティストのジェイ・チュン&キュウ・タケキ・マエダによるキュレーションの展覧会。インスタレーション・ビューの写真は少なく、論考とアーティストトークの実録が大半を占める読みものでもある。とても面白かった。ガブリエレ・シャードの寄稿も鋭く、文脈豊かに文が編まれていた。
カタログの文頭に、単純化された「物語」や「神話」が世界にシェアされる現代において、その背景に目を向けて同時に存在する複雑さに気付き、寛容していくことが試される、と資生堂ギャラリーの豊田さんがカタログで書かれていた。深く同意する。
資生堂という企業が行うギャラリーで、このような展覧会を開催して、カタログとしての記録が作られる。常々変化していく社会に対して、僕たちは新しい想像をしていかなくてはいけない。そういうきっかけを提案し続けていくことに感謝したい。